花火撮影はノウハウがいる
一眼レフでの花火撮影では単焦点レンズを使いたくなる一方、焦点距離の選択をミスると「画面に入りきらなかった!」「花火が小さすぎる!」といざ撮影の際に困ることが多いです。
体感では「多分20mmだろうなぁ」と思って持っていくと、電線が入り込んだり人が入り込んだりとトラブり、「あぁもっと長焦点のレンズを持っていけばよかったなぁ」と後悔してしまいます。
ここでは具体的な作例をもとに、最適な設定値を突き詰めていきましょう。
設定
露出時間
花火をきれいに撮影したい場合、露出の時間を多めにとると良いです。
露出時間はシャッターを開けっぱなしにしている状態で、センサーに映像が当たり続けるため、花火の打ちあがりはじめから消えていくまでの間を撮影することができます。
ただ露出の時間を増やすとその分おおくの光が当たってしまうため、F10といったふうに絞りを多くしたり、そもそも暗いレンズを使用したり、ISO感度を100程度まで下げたり、光が入る量を減らすNDフィルターを付けたりといった工夫が必要となります。
絞り
花火はとても明るい被写体のため、f値(絞り)を大きめに取ります。
じゃぁそもそもf4.5や6.3といったくらいレンズを使用すればいいのではという話もありますが、一般的にf1.8・f2.0といった明るいレンズを絞って使うほうが、画質はよくなる傾向にあるため、明るいレンズを絞って使うのがよいようです。
ISO
やはり花火は明るい対象なので、ISOは100程度に抑えておくのがよいでしょう。
ただ色々といじくっていると光が足りないという状態に陥ることはよくあるので、この辺りはお好みで調整してみましょう。
撮影スタイル
花火の撮影スタイルには以下のようなスタイルがあります。
動画
動画による撮影。実は花火撮影で一番カンタンだと思う。スマホでもいけますし。
シャッタースピードを上げる
シャッタースピードをあげて撮影する場合、なるべく明るいレンズ(f値が~f2.8)を使用し、シャッタースピード(露出時間)を短くして撮影します。
下の画像では、超広角20mm f2.0という明るいレンズで、露出時間を1/50まで短くしています。
通常、手ブレを発生させない露出時間が1/焦点距離なので1/20程度で良いですが、夜間で暗いという悪条件なので、1/50まで短くしています。
こうなると、花火が爆発した瞬間の写真を撮ることになるので、軌跡は写りません。
が、手持ち撮影だとこうせざるを得ないですねぇ。

長時間露光
花火の撮影の醍醐味といえば、はやりこの長時間露出でしょう。
~10秒程度の長い時間センサーを露出させて、花火が落下していく軌跡をも含めて撮影するという方法ですね。
当然、手持ちではブレブレになってしまい撮影ができないので、三脚を使用して撮影します。
この場合、多くはカメラの手ぶれ補正を切ったほうが、よい結果になりやすいと言いますね。



上のように長時間センサーを露出させるということは、その分明るさを取り込むため、なるべく絞り、ISOを低めにして撮影します。
このあたりの数値の調整は、体で覚えていきましょう(*´ω`*)
超広角レンジ
超広角レンジでの花火撮影の注意点
思った以上に寄らないといけない
超広角レンジで花火撮影をする場合、思った以上に寄らないと画面いっぱいに花火を撮影できないというケースがあげられますね。
筆者は2023年の第54回東海まつり花火大会に行ってきましたが、大池公園で打ち上げられる花火を、「どーせ近くにいくから20mmでいいや」と買ったばかりの単焦点20mmMFレンズを持っていきました。
が、20mmという広角はかなーり広く、打ち上げ会場の250mまで近寄らないと画面いっぱいに撮影はできませんでした。
邪魔な被写体が入る
街中で行われる今回のような花火大会の場合、電柱や家が被写体に入り込んでしまいます。
これら邪魔なものがない場所は多くの観光客に占有されてしまっていることがほとんどで、場所取りが重要となりますね。
超広角レンジでの花火撮影の距離

20mmという広角レンジでは、打ち上げ場から250mほど近寄らないと花火全体をカメラに収められませんでした。

上は20mmの超広角レンズを持って東海市の花火大会に行ったのですが、見ての通り市街地での花火大会というのは建物や電線が映り込んでしまうため、撮影が難しいです。

またこのように人がとんでもなくごった返してしまうため、コロナ感染のリスクもあります。重い機材を持ち込んで三脚を立てて撮影・・・なんてことは到底無理。
いい感じのアングルで花火をみられる場所はすでに場所取りされているので、うまいアングルで撮影するのが困難なのですね。
超望遠レンジ
超望遠レンジでの花火撮影のメリット
場所どりしやすい
花火大会は非常に混雑するため、会場の近場で撮影しようとすると場所どりで苦労することになります。
が超望遠レンジでの撮影になると競争相手もそれほど多くなく、場所どりで苦労することはあまりなくなります。
ただし、多くの展望所では撮影できる場所が限られていることもあり、三脚起き合戦になってしまうことも。
三脚を置いて撮影しやすい
競争相手が少ないことと、超望遠レンジでの撮影は同業者が多いことから、三脚を置いての撮影に理解者が多くなります。
同業者と話が盛り上がる
超望遠レンジでの撮影になると、大型のバズーカを背負った同志たちが自然と集まります。これにより話が盛り上がるのがとてもたのしいですね。
新たな交友関係が広がりますよ。
超望遠レンジでの花火撮影の注意点
超望遠のレンジになると、下の写真のように非常にブレやすいです。

花火撮影をする場合、露出時間を長めにとって花火の軌跡を撮影したいところですが、不安定な三脚を使用していると上のようにブレます。
このシーンでは小さな展望台の上に、観光客が20人ほど乗って花火を撮影していたため、かなり堅牢な三脚を使用していたにも関わらずこれだけブレてしまいました。
とくに超望遠レンジになると目視や間隔ではわからない揺れでも振動が倍増されてしまうため、注意が必要です。

家に帰って写真をみて「あああっ!」とならないよーにね
リモコン操作
花火撮影は数秒~数十秒の露光撮影となることが多い。撮影開始時にカメラ本体のシャッターを押した瞬間、カメラ本体と三脚がわずかにブレてしまい、失敗写真となってしまう。
そのため、外部リモコンを使用するのが良いだろう。
超望遠レンジでの花火撮影の焦点距離
下記のように15kmもの撮影距離の場合、200-600mmといった野鳥撮影・航空機撮影に使用する超望遠レンズが最適でしょう。



うーむ、みごとに失敗写真(笑)
超超望遠での撮影
超超望遠(笑)というパワーワードを自作してしまいましたが、1200mmが必要な距離での撮影です。
使用した機材は、ソニーα7IVに2倍テレコンと600mmレンズ。F11と非常に暗くなりますので、つらい。
今回テストしたのは地図の通り。知多半島の内海の花火大会を、対岸の鳥羽から撮影というかなり無理のある撮影にチャレンジしました。

前回、岐阜の花火大会を撮影した時は15kmくらいでしたので、およそ倍程度?の距離となりますね。

やや霞んでいるとはいえ、撮影できたのが奇跡的な距離ですね。
前回の329mmの写真と同じくらいのサイズ感でしか撮れていませんね。焦点距離は3~4倍にしたにも関わらず。
花火のサイズもあるかもしれませんが、非常に遠い距離の被写体の撮影というのは、思った以上にレンズの焦点距離が必要となるようです。
サブカメラの必要性
花火撮影は三脚を使用して5~10秒程度の露光時間での撮影や動画撮影がメインとなります。
こうなるとカメラは撮影時間で待機するケースが多くなり、その間撮影者はぼーっと花火を眺めたりスマホをいじったりとなってしまうわけです。
特に動画撮影の場合、数分間はカメラを操作できないので暇になってしまうんですよね。
この場合も考えてサブのカメラを用意し、一台は動画撮影・一台は写真撮影と役割を分けるのが良いです。
ただこうなると三脚も2台用意しなければならないというジレンマがあります。こうなると機動力の面であまり好ましくはないので、筆者の場合はコンデジに簡易三脚を取り付けて使用しています。
これならば機動力を犠牲にすることはありませんので!
筆者の場合G9X(こちらは生産中止)とマンフロットの小型三脚を組み合わせて使用しています。
これならばポケットに簡単に入りますので、暇なときにスッとポケットからだして撮影できるんですね!
上ではほぼ同等機種のg7xを紹介しています。f値1.8という非常に明るいレンズ、1インチセンサーでコンデジとしては十分なセンサーサイズ、24mm-100mmという35mmフルサイズ換算焦点距離は、非常に扱いやすいです。
花火撮影同様にカメラが占有されてしまいがちな星空撮影でも活躍できる万能機種となっておりますので、サブのコンデジとして特におすすめの一台ですね。
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